阪急電鉄8300系
Hankyu - Series"8300"
▲(上)撮影当時は登場時のスタイルを残す8331編成。2両編成で後ろに8312編成を従える。
▲(下左)リニューアルに際し車番が左に寄った8301編成。(下右)最後期導入の8315編成。前面デザインが大きく変わった。
1989年に登場した通勤型車両。神宝線向けは8000系に対し、京都線向けは8300系で車体幅などが異なる。1987年に創立80周年を迎えるのを機に導入され、以降阪急電車の顔として広報の場面など様々なところに使われた。それもあってか人気車種の一つとなり、ファンも多い。
それまで導入していた7000系(7300系)に対し大きく前面デザインは変更され、貫通扉以外の部分をくぼませて周りに縁取りを作るという"額縁"スタイル。またライト類も角形にして新しさを演出していた。斬新だったデザインはデメリットも多くあまり続かず、2次投入車からは額縁をやめ、上部に向かって後退角のついた"くの字"型になった。額縁スタイルの車両も含め後年に様々な改造が加えられており、同じ形式でも様々なスタイルの車両を見ることができる。
スケールモデルでは、言わずもがなグリーンマックスの独壇場。その昔には塗装済キットもあった(後述)。
完成品としてリニューアルされてから、形状としては額縁スタイルの1次車から3次車まで取りこぼすことなく製品化しているが、7000系製品と同様に車体規格の差で8000系と間を取って共通としているのは1次車のみで、他はすべて京都線向けの8300系としての寸法が採られている。
現状(2024年11月現在)では2次車が手元にないので、以降は1次車と3次車を掲載している。
スケールモデルでは、言わずもがなグリーンマックスの独壇場。その昔には塗装済キットもあった(後述)。
完成品としてのリニューアル以降は額縁スタイルの1次車から3次車まで、異端車8200系を除けば一通り製品化しているが、車体規格の差で間を取って共通としているのは1次車のみで、他はすべて京都線向けの8300系としての寸法が採られている。8000系2次車・3次車とする場合は車番の変更が必要。そのあたりは阪急車両の鉄道模型を多数特製品として発売している松本商事が細々と限定品としてたまに発売している。
ちなみに近年では寸法が完全に8000系1次車で採られた鉄道コレクション製品が発売されている。
阪急電鉄8000系
保有編成表
8300系 1次車
8302 8902 8852 8952 8982 8872 8802 8402
8330 8450 8310 8860 8960 8880 8810 8410 塗装済キット
8331 8451 8312 8862 8962 8882 8812 8412
8300系 3次車
8315 8904 8865 8965 8984 8885 8815 8415
8000系 1次車
8031 8151 + 7000系や8000系など(ラッシュ時増結運用)
8032 8152 + 7017 7667 7517 7677 7617 7117
8000系 3次車
8042 8192 + 6000系・8000系など(ラッシュ時増結運用)
阪急8000/8300系
グリーンマックス製塗装済キット
グリーンマックスが未塗装板状キット以来久々に製品化した阪急車両は、塗装済キット形態でした。1998年頃に8000/8300系が、その翌年には前面の金型を差し替えた7000/7300系タイプ(窓の大きさが異なるため)が発売。この時代は京急1500系や東急9000系、京成3700系など塗装済キットシリーズとして有名だが、合いの悪い甘い造形や塗装済とされながら実際に組んでいくと再塗装が随所で必要になるなど、この阪急製品は必ずしも良いものであるとは言えなかった。2007年頃には完成品としてリニューアル。次第に需要は失われていった。
ここでは中古で購入したキットを組んでいる。完成品ももちろん所持しているが、こちらの愛らしい姿も良い。ほぼ素組でもそれなりに見栄えが良くなるのであまり難しいことを考えずに組み立てできる。ただし完成品シリーズと並べるとさすがに眠たそうなこのキットの顔が目立つ。
このキット最大の特徴は車体長が短いこと。シャーシは同じ塗装済キットの京急1500形と共通のものが入っている。上の写真では現行の完成品7000系との比較だが、明らかに短いのがわかる。
当時の事情はわからないが、阪急電車のような18.5m~19.0mの車体は関西私鉄独特の仕様で関東にはほぼない。逆に関東で主流となったのは18m級で、関東の車両を製品化する機会のほうが多いであろう模型メーカーには関西仕様の製品は出しづらかったのだろう。老舗メーカーであるKATOでさえ、阪急6300系は当時一緒に発売していた京急800形と動力ユニットを共通にしていたため18m級にショーティ化されている。逆に言えばKATO製阪急6300系と並べて楽しむのならこの長さで正解だったのかもしれない。
阪急8300系
8330+8310番台の作成
8000/8300系には8両編成のほか6両編成、2両編成がいる。ちなみに以下の通り付番で分類されている。
8両編成:8000/8300番台 6両編成:8310番台(神宝線には該当なし) 2両編成:8030・8040/8330番台
グリーンマックスの8000/8300系1次車製品は、基本セット4両・増結セット4両・増結用先頭車セット2両の構成となっている。製品のまま揃えていくとどうしても8連貫通(+ラッシュ時増結2両)となるため、バリエーションという点では面白みに欠ける。と思っていたが、2024年後期発表、2025年発売の製品からついに基本セット6両・増結中間車セット2両・増結先頭車セット2両の構成になる模様。やっとこさだ。
こちらは8331+8312編成のうち8331編成側の2両。8300系としてはごく普遍的な先頭車のみで構成された編成。
ただ2+6で繋いでもいいのだが、せっかくならとVVVFインバーター装置を実車に似たものを設置した。製品では初期の東洋電機または東芝製のVVVFインバーター装置箱が再現されているが、実車は導入の過程で搭載される機器が変更となっており、この編成では東洋電機製のヒートシンクカバーが小型になったものが搭載されたため、近似の床下機器を並べて再現してみた。VVVF装置本体は京急600形用のもので、実は3つ並んだヒートシンクカバーの位置が逆(8300系は左寄り)。しかしながら普段の製品と異なる小さなコブが再現できたのでよし。
こちらは8331編成の相方8312編成。
京都線では普通車や堺筋直通が7両編成になって以降、わざわざ分割しての仕事は8両編成が入れない嵐山線の応援くらい。紅葉のシーズンになると多客対応のため6両編成で桂~嵐山間を行ったり来たり。観光列車京とれいんの登場までは京都本線との直通臨時列車も数多く運転されていて、この8312編成も充当され、地下鉄堺筋線直通臨時特急というめずらしい運用にもついていたらしい。8312号車にはその行先方向幕を貼付した。
阪急7000系
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